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学長が語る 障がい児保育

学長が語る 障がい児保育

最終回

「心のバリアフリー」な社会をめざして

我が子に障害があることを知ったとき、多くのお母さんは、強いショックを受けると思います。
「自分のせいではないか、この子に申し訳ない」と自分を責めたり、障がいのない子どもとの違いにだけ目が行き「なぜ・・・」と悲嘆したり、「この子は、幸せに生きていけるのだろうか、自分たちが死んだ後、この子はどうなるのだろうか」と大きな不安に襲われたりと、その辛さ、苦しさは、当事者でないとわからないと思います。
しかし、多くのお母さんは、その辛さ、苦しさを、克復していきます。他の子どもと比べて、その違いで我が子を価値付ける無意味さに気づいたり、我が子の、他の子と比べようもないすばらしさに気づいたり、同じ立場にある人たちと経験を分かち合ったりしながら、以前とは違う視線で現実を見つめることができるようになっていきます。そこに「心のバリアフリー」が実現されていくように思います。

しかし、一方、私たちは、どうでしょうか?どのような視線で障害のあるお子さんを見ているでしょうか?その視線の中に「心のバリアー」は潜んでいないでしょうか?
「障害があっても、一人の子どもとして見てほしい。子どもの気持ちにより添って普通に接してほしい」というのが、おそらく、障害のあるお子さんを持つお母さんの気持ちであろうと思います。保育者は、その気持ちをしっかりと受け止めて保育をする必要があると思います。その保育をとおして、「心のバリアー」を持たない子どもたちが育ち、その子どもたちが、やがて「バリアフリーな社会」を作りあげていくと思うからです。